皆さん、こんにちは。
本日は、94歳、男性、要介護3のアルツハイマー病の人のケア体験をご紹介します。
ご自宅での出来事で、「トイレ誘導の際、便器の少し手前で立ち止まり、便座になかなか座ろうとしない」という状況に対して、「本人を車の運転手に見立てて、『バックオーライ、オーライ、オーライ、はい、ストーップ。ゆっくり腰をおろしてください、オーライ、オーライ、オーライ、はい、オッケー』と声でも誘導してみた」ところ、うまくいったとのことです。
「若い頃、車の運転が好きだったので。車を運転している気分になって、うまく車(体)をコントロール出来たのではないでしょうか」、「何か引っかかりがある時は、無理強いせずに、本人の経験や習慣に結びつけて誘導してみるといいかもしれません」と加筆していただいています。
ご本人のこれまでの生活、好み、趣味などをよく知ったご家族ならではの対応だと思います。またアルツハイマー病の人は、視空間認知障害のために、自分の体と便座との位置関係がわかりにくくなり、うまく腰掛けられなかったのかもしれません。逆にこの病気の人は運動機能は保たれやすいので、移動、着座に対する支持は比較的少なくてすんだのではないかと想像します。
今回のケア体験を読んで、穏やかで、和やかな光景が思い浮かびました。年末のケア体験としてお届けしたいと思いました。
本年も、認知症ちえのわnetにケア体験を投稿していただいた皆様、本サイトを閲覧・活用・紹介していただいた皆様、ありがとうございました。2014年に認知症ちえのわnetの開発に着手し、2016年1月12日に第2回限定公開として、少数のケアの専門家の方に公開しました。その後、本日まで、活動を継続できたのは、皆様のおかげです。来年早々に5周年を迎えますが、引き続き宜しくお願い申し上げます。
それでは、また来週。
数井裕光
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認知症ちえのわnet運営事務局
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