うさちゃんさんの投稿:どこにいるのかわからなくなる・・(第248報)

配信日: 2020年10月12日

皆さん、こんにちは。

本日は、症状の詳細をご本人が語ってくれて、適切な対応法が選択できた、貴重なケア体験をご紹介します。

82歳、女性、要介護1のアルツハイマー病の人が、「散歩に行こうとして、わからなくなった」とのことです。さらに「現在、まだらにわからなくなる母が話してくれた事です」と状況の説明が続きます。「自分が散歩に行こうとして、外に出ると急に、『自分の実家の周りの道の感覚』が頭に出てきて、今どこにいるのかわからなくなった。『実家の周りだ』と自分は思うのに、現実は違うからすごく困った。時々そんな感じになる」と、話してくれたとのことです。

そこで、「そんな時は動かないで、一回家に入って、『今』を確認しよう」と話して、そのようにしてもらったところ、うまくいったとのことです。

さらに、「ご本人が『自分は、しっかりしている時とぼんやりしている時がある』と話してくれ、『ぼんやりしている時に色んな事がおこり、余計に混乱が増してしまう』、『デイサービスで、いきなり旧姓を名乗りだした』ことがあった様です」と加筆していただいています。

アルツハイマー病の人の「最近の記憶は残りにくいが、古い記憶は残りやすい」という症状が関連している出来事だと思います。私は、最近の記憶が思い出せないから、代わりに古い記憶が思い出されるのだろうと理解していました。しかし、この理解は間違っていたかもしれないと思いました。今回のケア体験では、古い記憶が優先的に、それもありありと現実感を持って思い出されています。一方、現在の外界の視覚情報は適切に分析されているようです。そのため、両者に不一致が生じて、戸惑われたのだと思いました。アルツハイマー病の人の症状を理解するために貴重なケア体験だと思いました。

私も対応法を検討する際には、ご本人に、どのように感じているのかを、聞くようにしています。さらにどのように対応してもらいたいかを直接聞き、家族にお伝えすることもあります。認知症ちえのわnetにおいても、ご本人がご希望される対応法が、実施可能であれば、それを実施して、奏功確率を明らかにしたいと思っています。

本日のケア体験のように、ご本人の症状をうまく説明できたケア体験、ご本人のご希望通り対応したケア体験をお持ちでしたら、「うまくいった」、「うまくいかなかった」に関わらず、投稿をお願い申し上げます。

第28回日本精神科救急学会学術総会(ウエブ開催)を無事終えることが出来ました。参加していただいた皆様、ありがとうございました。この学会の主たる講演、シンポジウムとディスカッションは録画しており、本日から本年11月11日(水)24時まで、視聴できるようにしています。視聴するには、参加登録が必要ですが、ご興味のある方は、こちらをご覧ください。

それでは、また来週。

数井裕光
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