こなつさんの投稿:配偶者の顔を見てもわからない・・(第170報)

配信日: 2019年4月15日

皆さん、こんにちは。

本日は91歳、男性のアルツハイマー病レビー小体型認知症の合併の方に関するケア体験をご紹介します。

「配偶者の顔を見ても、妻とわからない。似ているけど違うと言う」という症状に対して、「配偶者が、『私はあなたの妻である』と説明した」が、うまくいかなかったとのことです。

このケア体験でとても興味深く思ったのは、ご本人が、(今の奥様のお顔を見て)「妻の顔はこんなしわくちゃではない」と言われたことです。過去の若かった時の奥様のお顔が、ご本人の記憶にあり、その記憶と現在の目の前の奥様のお顔を、ご本人が頭の中で照合して、異なると判断したのだと思います。この症状の発現には逆向健忘が関与していると想像されます。

逆向健忘とは、「病気が始まる前に獲得した記憶が失われる」という症状です。アルツハイマー病の方では、「新しい出来事を覚えられないという」前向健忘は早くから認められるのですが、逆向健忘は少し遅れて目立ってくるのが普通です。また逆向健忘内の思い出せる出来事が、進行に伴い、より過去にさかのぼっていきます。すなわち、アルツハイマー病が進行するほど、ご本人は、より古い過去の出来事を思い出しやすくなり、比較的新しい過去の出来事を思い出しにくくなるのです。

加えて、今回の方は、レビー小体型認知症も合併しておられるとのことなので、視覚認知、視空間認知障害も「家族の顔がわからなくなる」というご本人の症状の成立に影響しているかもしれません。

同じように見える症状でも、成り立ちによって有効な対応が異なると思います。様々な体験のご投稿を皆様にお願いしたいと思います。

事務局からのご連絡の再掲です。

一人暮らしの認知症の人の自動車運転を停止してもらうための対応をされたご経験のある方、うまくいかなかった体験でもよいのでご投稿をお願い申し上げます。「認知症ちえのわnet」の投稿法の解説を改訂しました。また集計結果を更新しました。「場所と時間」からの集計結果の閲覧はこちらです。

それでは、また来週。

数井裕光
=====
認知症ちえのわnet運営事務局
※このメールは送信専用のメールアドレスから配信されています。
ご返信頂いても受付できませんので、ご了承ください。