
神経精神科学講座
このBPSDは認知障害とは異なり、治療可能なのです。BPSDが非常に強く、早く治療しないといけない時は薬を使って治療します。しかしBPSDの治療の基本は、ご本人に対して周囲の人が適切な対応をとることです。接し方や声のかけ方によって、BPSDは軽くなったり重くなったりするのです。そのため、接し方はとても重要で、BPSDに対する対応法を説明した書籍が数多く出版され、書店に並んでいます。しかしこれらの本に書かれている声かけ法や対応法が、実際にどの程度の確率で有効なのか、悪くすることはないかなどについては、検証されていませんでした。
今回、私たちは、認知症の人に対して現在、提案されている様々な対応法や声かけ法がどの程度有効なのかについて、インターネットを利用して全国的に大規模調査することにしました。ただ、ある時点に一回の調査をするのではなく、継続的に調査し続けるというスタイルをとります。皆さんには、まずこのホームページに書かれているBPSDに対する対応法を試していただきたいと思います。そしてその対応法が有効であったか、有効でなかったかを書き込んでいただきたいのです。もしも有効でなかった場合は、異なる方法で対応されたのだと思います。その対応法とそれが有効であったかどうかもまた書き込んでいただきたいのです。このように、認知症の人に対して有効な対応法を見つけるまでに、試行錯誤をすることはやむを得ないと私は思っています。しかしこの試行錯誤の情報こそが、今後よりよい対応法を見つけるために役に立つと思っています。皆さんのご協力をお願いいたします。
皆さんから収集した情報は専用コンピュータに記録され、解析されます。そして妄想、怒りっぽさ、不安などのBPSDやその他のいくつかの症状ごとに、有用な対応法を、それが奏功する確率とともに公開する予定です。全国からデータを継続的に収集しますので、その時までに集まった情報に応じて、奏功確率は替わると思いますし、最も有効とされる対応法が替わることもあると思います。
H26年度から開始されている私たちのこの事業は、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業などの中で私たちに受託された公的研究事業です。(以下正式課題名)
本研究事業遂行を推進・支援する認知症ちえのわnet関係者についてはこちらをご覧ください。認知症の人が穏やかに日常生活を送られるような社会作りに、今回のシステム構築は役立つと心から思っております。そのためには、皆さんからの多くの投稿が必要です。何卒、ご協力をお願い申し上げます。